お化けになった日/ずぶ濡れ

そんな訳で講師の仕事も今日で最後となった。1日・2日・3日と日を追うごとに上手くなるのが普通だろうが、むしろ下手になっていく私のような人間も珍しいだろう。冷や汗が止まらなかった。人前で話すのは中々慣れないものだ。とはいえ面倒な仕事から解放されて多少気が晴れた。

 

ところで昨日夜、仕事を終えた私は職場でiPodのプレイリストを延々と作っていた。通勤中に聞いているベストオブベストを集めたプレイリストがあるのだが、しばらくメンテナンスを怠っていたために、曲順がバラバラになっていた。外はまだ暑い。せっかくだし冷房が効いている職場で編集して涼しくなるまで待とう…ということで、自席で吞気にプレイリスト編集作業を行っていた。

プレイリストというのは流れが重要だ。片っ端から曲を追加した結果、今のベストオブベストは陽気な曲の直後にしっとりした曲、メタルの直後にTotoというちぐはぐ状態だった。そんな中から同じ印象の曲を一つずつ繋げていき、全体として緩やかな流れを作るのだ。これはクラブDJの仕事に近いだろう。

それがドラッグアンドドロップで出来ればいいのだが、iPodでやろうとすると、長押し→移動したい場所まで画面スクロール→離す…という作業が必要だ。これが1曲ずつしか移動できないため、とにかく面倒くさい。100曲以上のプレイリストでそれをやろうとすると、1曲を端から中間まで持っていくだけで20秒くらいかかる。

その作業を延々と続けていたところ、最後まで残っていた同僚が帰っていった。だが私に気づかなかったらしく、部屋の照明を消してしまった。あたりは真っ暗だ。だがiPodの画面が光っているので「まあいいか」とプレイリスト作りを続行する。

その後しばらくすると、誰かが入室する音が聞こえ、照明がつけられた。

私としては電気を消されようが構わないのだが、最初誰かが入室した時「私を見つけたらビックリさせてしまうかも」と思い、机の下にもぐりこみ身を隠した(この間もプレイリスト作成は続行)。そりゃそうだ、真っ暗で誰もいないと思った部屋に誰かが潜んでいたら、私だったら背筋が凍ると思う。

少し背中のあたりがはみ出てしまったが、これなら気づかれまい…。物音を立てずにじっとしていると、あろうことか私の机のすぐ向かいに来たではないか。これはもう完全にバレたわ…と思い、正体を明かすため机の下から出てくると、ちょうど踵を返して立ち去っていくところだった。彼はそのまま部屋を出ていき、再び暗闇に包まれる。

その後、何度か同僚が部屋に入ってきて、エージング中の装置をいじったり荷物を取っていったりしていた。そしてやはり私に気づかないらしく、退室時に照明を全て消していき、都度真っ暗になる。

結局40分以上作業を行った後帰宅したのだが、あの時の同僚はどう思っただろうか。そもそも私に気づいたのだろうか。私のいないところで「俺さ、昨日やばいもん見ちゃったんだよ!」とか話してるかなぁ。

…などとくっそどうでもいい話を書いてしまった。もしお化けや幽霊がいるとしたら、その気持ちが少し分かった気がする。

 

さて、今日は雷雨とともに一気に涼しくなった。涼しいのはいいのだが、ちゃんとしたレインコートを忘れてしまった私は雨雲レーダーでタイミングを計って帰宅したものの、見事雷雨に見舞われる。最初何とか抵抗を試みたが、早々に下着まで濡れてしまい戦意喪失。半ばやけくそで帰宅した。せっかくの革靴がびしょ濡れに…うぅ…