【旅行記?】暇を持て余したおじさんの鉄道小旅行【乗り鉄】

2023年10月。ひょんなことから有給休暇が取れることになった。どうせなら休日は混雑して行くのがためらわれるような場所に行きたい。鎌倉・湘南あたりはどうだろうと思ったが、昼過ぎまでぐっすり寝てしまったせいで時刻は既に13時。出かけないという選択肢もあったが、せっかくの休みに出かけないのももったいない。ならもっと早起きしろという話だが、仕事で疲れていたので仕方ない。今から鎌倉に行くと着くのは15時過ぎになってしまう。さすがにそれは厳しいので、横浜あたりに行こうかな、あるいは国立博物館でも行こうかなと迷った結果、電車の中で行先を考えることにした。

そんなわけで意気揚々と家を出発。だが腕時計の時刻を見ると、文字盤は8時35分あたりを指していた。電池切れらしい。せっかくつけてきた腕時計が早くもお荷物になってしまう。そして駅に着くと、人身事故で電車が遅れているという。時計といい、まるで「今は出かけちゃだめだ」と忠告されているかのようだ。ホームに着くと遅れていた各駅停車がやってくる。普通列車の後に後続列車が詰まっているらしく、それが出発すると間髪入れず急行列車がやってきた。その直後にはデビューしたばかりのスペーシアXが1時間遅れで到着するという。急行列車に乗って出発するが、案の定先行する普通列車のおかげでしばらくノロノロ運転が続く。そんな普通列車を追い抜き、後続のスペーシアXを先に行かせ、北千住駅に到着。いつもならこの駅で降りるのだが、今回は浅草まで行き、そこから都営浅草線に乗り換えて横浜まで行くことにした。

浅草駅の手前、東京スカイツリー前に来たところで一瞬「スカイツリーもいいな」と思うも、展望台に行く料金が高そうだなと思い断念。浅草の手前でまた待たされ、実質10分ほど遅れて浅草駅に到着。ホームで外国人グループが電車を待っていた。

改札を出て階段を降りる。そうだ、せっかくだし浅草寺に立ち寄ってみようかな。地下鉄に向かう手前で右に曲がると新仲見世通りの看板が。これはちょうどいい、行ってみよう。

 

仲見世通りも混んでいたが、仲見世通りは更に混んでいる。向こうに浅草寺本堂が見えているのに中々たどり着けない。これでは休日はどうなることやら。そしてやはり外国人が多い。見た感じ3分の1以上は外国人だ。本堂前に着くと広場があり、お香が焚かれ手洗い場やおみくじもある。ここもやはり撮影に興じる外国人が多い。

ちょっと立ち寄るだけのつもりだったのに、混雑に巻き込まれ案外時間をロスしてしまった。浅草寺にお参りするのも面倒なので、そのまま横道にそれ、仲見世通りを迂回して浅草駅に戻ることにした。

浅草寺の敷地から出ると花やしきがあった。花やしきは子供の頃に一度来たことがある。当時のことはよく覚えていないが、今は亡き祖母と一緒だったような…。ジェットコースターも健在らしい。ジェットコースターは規模は小さいが、狭い空間を潜り抜けるような独特なスリル感があった。ぶつかりそう!っていう別の怖さがあるんだよね。だが看板を見るとパチンコ屋とコラボしているらしく、幼少期の記憶が軽く汚された気がした。

ともかく駅に向かう。やけに立派な建物があるなと思ったらJRAだった。その後浅草寺沿いに歩くと居酒屋が増えてきて、昼間から酒を煽るおじさんたちがいる。ろくに昼飯を食っていなかったので、つい私も立ち寄りたくなるが、誘惑を振り切り先に進む。

 

若い男性がお笑いライブの客引きをしていたが、さすがにノリでライブを見に行く時間的余裕はない。広い通りに出ると、なるほどここをこの方向に進めば駅に行けると悟り、進む。と、ここまでお土産に目もくれず進んできたが、途中舟和の店を見た瞬間つい欲しくなり、買ってしまった。

 

その後少し進むと雷門があった。なるほど、ここだったのね。ここも祖母と一緒に来た記憶がある。人力車の引き手が観光客の写真撮影を手伝っており、随分サービス精神旺盛だなと関心した。その後何とか都営浅草線の駅を発見。浅草駅は東武東京メトロ都営地下鉄つくばエクスプレスの4路線あるが、各々位置が結構離れている。東武東京メトロは開業が早かったためか両者は結構近く、かなり古い連絡通路も残っている。

 

ともかく都営地下鉄の駅に到着。改札を通った直後トイレに行きたくなったが、トイレがあるのは逆方向のホーム上らしい。わざわざ階段を下りてトイレに行き、用を済ませた後階段を上って品川方面ホームに向かう。そんなことをしていたせいで列車に乗り遅れてしまったが、すぐ次の列車が来た。車内はガラガラで、これじゃあ東武の方が混んでたなと思ったが、徐々に乗客が増えてくる。さすが乗客の半分以上はスーツ姿だ。その後日本橋あたりで私の両隣が埋まる。しかも両方女性ではないか。隣に女性が座っただけでひやひやするというのに、ちょうどスマホアズールレーンをプレイ中だったので猶更困ってしまう。早くここから解放されたい…

そんな中列車はようやく品川に到着。今乗っているのは特急で、品川の次は青物横丁に停まるらしい。ん~、それでは京急名物の120km/h走行を楽しめないじゃないか!ということで品川駅で小休止。ホームでコーヒーを飲みつつ快速特急を待つ。やはりスーツ姿のサラリーマンが多いがカジュアルな服装の人も案外多い。向かいのホームからはくるりの「赤い電車」の接近メロディーが聞こえてくる。コーヒーを飲み終わり、ほどなくして快速特急が入線してきた。

快速特急の車両は2ドアで、ちょっとした優等列車のような風格だ。出発直後はノロノロ運転が続いたものの、しばらくして結構な速度まで加速した。高架なので見た目的な速度感はあまりないが、揺れ方が結構凄い。うまく説明できないが、いかにもスピード出してまっせ~というような揺れ方をする。標準軌で多少安定性が高いはずなのにこれだから、やはり相当なスピードを出しているのだろう。京急蒲田京急川崎と停車していく。川崎で結構な数の乗客が下車し、立っている乗客は大分少なくなった。ここから横浜までが京急の本領発揮区間だ。昔京急に乗っていたとき、横浜駅を数十秒前に出発した東海道線を追い抜いてしまう場面に出くわしたことがある。今はどうか分からないが、横浜-川崎間に限れば京急のほうが速いのだ。

そんな感じであっさり横浜に到着。しかし思い付きで来てしまったのでやることもなく、適当に駅前をぶらつく。横浜まで来れば何かあるだろうと思ったが、地下通路にあった大型書店を除くと特に見どころがない。あまりに何もないのでgoogleマップを開くとTENGAショップなるものが出てきた。どんな店かと思って行ってみたら、大型ショッピングセンターの中にあるらしい。女子高生が多いし、TENGAショップがあるとは想像しがたい。

 

館内を適当に歩くが、アニメイト以外に心惹かれる店は見当たらない。ようやく目当てのTENGAショップにたどり着いた。正直思ったほど広くないが、関連グッズも多数あり、言われなければTENGAがあると気付かない。しかも女性向けアパレルショップのような雰囲気で思わず入店をためらってしまう。

 

そんなことをしているうちに日も傾き始め、「いかん、そろそろ帰らねば」と思い横浜を後にする。結局横浜では1円も使わずただ散歩しただけだった。何という時間の無駄遣い…

帰りは東急東横線で渋谷まで向かう。東横線は学生時代就活していた頃度々利用していたが、社会人になった後は1度利用しただけで、およそ10年以上ぶりだったと思う。当時は武蔵小杉の開発がほとんど進んでいなかったはずだが、今やタワマンが立ち並ぶ別世界だ。そんなタワマンの割と近くに昔ながらの町中華があったりするのが面白い。東横線と言えば田園調布や自由が丘など高級なイメージのある路線だが、車内から見た限りでは町がごちゃごちゃしてるし、ぶっちゃけ地元の東武線の車窓と大差ないな…と思ってしまった。すぐそばでいちゃつく高校生カップルにイライラしつつ渋谷に到着。

 

渋谷は今も発展著しい街だ。少し前にヒカリエとかいうのが出来たはずだが、次から次へと開発が進み、今なにをやっているのか把握出来ない状況だ。とりあえずハチ公前に出たいのだが、東急からハチ公方面へはどう行けばいいのだろう。とりあえず案内板に従って歩くが、自分がどこにいるのか全く分からない。大分回り道をして何とかたどり着いた。

 

スクランブル交差点はこの日もお祭りマンボ状態だ。やはり外国人観光客が多い。ここは1年前の夏にも来たが、この日は気まぐれでスクランブル交差点の目の前、大盛堂書店に初めて入ってみた。中は地上2階・地下1階構成の普通の本屋。1階は騒々しいが2階に行けば驚くほど静かで、すぐ近くに山ほど人がいるとは思えない。悩んだ末にカイジの最新刊を購入。

その後センター街周辺を歩き回る。この日は昼食をろくに食べていないので、少し早めの夕食をとっても良かったのだが、どの店も満席だ。西武百貨店に入ると割引された総菜が並んでいたが、これを持って帰宅ラッシュの電車に乗り込むのも嫌なので断念。お腹を空かせて渋谷駅に戻ってきた。

単に帰宅するなら半蔵門線を使った方がいいのだが、あえて帰宅ラッシュのJR各駅も見てみたい。そんな気まぐれでJRのハチ公口改札をくぐる。渋谷駅も改装中で、一層混雑度合いが増したように感じる。山手線は島式ホームに変わっていた。ほどなく新宿方面の列車が到着したが車内は満員で、やむなく列車を見送る。次に来た列車は何とか通路側に入り込めた。

新宿からは中央・総武線各駅停車で秋葉原まで向かう。新宿駅も鬼のように混んでおり、コミケを彷彿とさせる。中央線快速の方はかなり混雑しているがこちらは席が埋まりちらほら立っている乗客がいる程度。市ヶ谷から見える外堀も懐かしい。飯田橋あたりから若干乗客が増えるが、御茶ノ水から一気に乗客が増え、身動きが取れなくなる。次の秋葉原で大きく乗客が入れ替わり、それに乗じて降車。ホームの自販機で甘いジュースを買い、一息入れてから上野方面へ向かい、北千住から東武線で帰宅した。帰りに夕食を買いに駅前のスーパーに立ち寄ったが、総菜類が全て売り切れで、結局この日の夕食は自宅で茹でたパスタとなった。

 

そんな訳で今回も暇を持て余したおじさんの一人旅となったが、こんな雑な休日の過ごし方が許される環境に感謝したい。ちなみにこの2ヶ月後、もっと本格的な鉄道旅行に出かけるのだが、それはまた次の機会に…