【旅行記?】暇を持て余したおじさんの鉄道小旅行【乗り鉄】

2023年10月。ひょんなことから有給休暇が取れることになった。どうせなら休日は混雑して行くのがためらわれるような場所に行きたい。鎌倉・湘南あたりはどうだろうと思ったが、昼過ぎまでぐっすり寝てしまったせいで時刻は既に13時。出かけないという選択肢もあったが、せっかくの休みに出かけないのももったいない。ならもっと早起きしろという話だが、仕事で疲れていたので仕方ない。今から鎌倉に行くと着くのは15時過ぎになってしまう。さすがにそれは厳しいので、横浜あたりに行こうかな、あるいは国立博物館でも行こうかなと迷った結果、電車の中で行先を考えることにした。

そんなわけで意気揚々と家を出発。だが腕時計の時刻を見ると、文字盤は8時35分あたりを指していた。電池切れらしい。せっかくつけてきた腕時計が早くもお荷物になってしまう。そして駅に着くと、人身事故で電車が遅れているという。時計といい、まるで「今は出かけちゃだめだ」と忠告されているかのようだ。ホームに着くと遅れていた各駅停車がやってくる。普通列車の後に後続列車が詰まっているらしく、それが出発すると間髪入れず急行列車がやってきた。その直後にはデビューしたばかりのスペーシアXが1時間遅れで到着するという。急行列車に乗って出発するが、案の定先行する普通列車のおかげでしばらくノロノロ運転が続く。そんな普通列車を追い抜き、後続のスペーシアXを先に行かせ、北千住駅に到着。いつもならこの駅で降りるのだが、今回は浅草まで行き、そこから都営浅草線に乗り換えて横浜まで行くことにした。

浅草駅の手前、東京スカイツリー前に来たところで一瞬「スカイツリーもいいな」と思うも、展望台に行く料金が高そうだなと思い断念。浅草の手前でまた待たされ、実質10分ほど遅れて浅草駅に到着。ホームで外国人グループが電車を待っていた。

改札を出て階段を降りる。そうだ、せっかくだし浅草寺に立ち寄ってみようかな。地下鉄に向かう手前で右に曲がると新仲見世通りの看板が。これはちょうどいい、行ってみよう。

 

仲見世通りも混んでいたが、仲見世通りは更に混んでいる。向こうに浅草寺本堂が見えているのに中々たどり着けない。これでは休日はどうなることやら。そしてやはり外国人が多い。見た感じ3分の1以上は外国人だ。本堂前に着くと広場があり、お香が焚かれ手洗い場やおみくじもある。ここもやはり撮影に興じる外国人が多い。

ちょっと立ち寄るだけのつもりだったのに、混雑に巻き込まれ案外時間をロスしてしまった。浅草寺にお参りするのも面倒なので、そのまま横道にそれ、仲見世通りを迂回して浅草駅に戻ることにした。

浅草寺の敷地から出ると花やしきがあった。花やしきは子供の頃に一度来たことがある。当時のことはよく覚えていないが、今は亡き祖母と一緒だったような…。ジェットコースターも健在らしい。ジェットコースターは規模は小さいが、狭い空間を潜り抜けるような独特なスリル感があった。ぶつかりそう!っていう別の怖さがあるんだよね。だが看板を見るとパチンコ屋とコラボしているらしく、幼少期の記憶が軽く汚された気がした。

ともかく駅に向かう。やけに立派な建物があるなと思ったらJRAだった。その後浅草寺沿いに歩くと居酒屋が増えてきて、昼間から酒を煽るおじさんたちがいる。ろくに昼飯を食っていなかったので、つい私も立ち寄りたくなるが、誘惑を振り切り先に進む。

 

若い男性がお笑いライブの客引きをしていたが、さすがにノリでライブを見に行く時間的余裕はない。広い通りに出ると、なるほどここをこの方向に進めば駅に行けると悟り、進む。と、ここまでお土産に目もくれず進んできたが、途中舟和の店を見た瞬間つい欲しくなり、買ってしまった。

 

その後少し進むと雷門があった。なるほど、ここだったのね。ここも祖母と一緒に来た記憶がある。人力車の引き手が観光客の写真撮影を手伝っており、随分サービス精神旺盛だなと関心した。その後何とか都営浅草線の駅を発見。浅草駅は東武東京メトロ都営地下鉄つくばエクスプレスの4路線あるが、各々位置が結構離れている。東武東京メトロは開業が早かったためか両者は結構近く、かなり古い連絡通路も残っている。

 

ともかく都営地下鉄の駅に到着。改札を通った直後トイレに行きたくなったが、トイレがあるのは逆方向のホーム上らしい。わざわざ階段を下りてトイレに行き、用を済ませた後階段を上って品川方面ホームに向かう。そんなことをしていたせいで列車に乗り遅れてしまったが、すぐ次の列車が来た。車内はガラガラで、これじゃあ東武の方が混んでたなと思ったが、徐々に乗客が増えてくる。さすが乗客の半分以上はスーツ姿だ。その後日本橋あたりで私の両隣が埋まる。しかも両方女性ではないか。隣に女性が座っただけでひやひやするというのに、ちょうどスマホアズールレーンをプレイ中だったので猶更困ってしまう。早くここから解放されたい…

そんな中列車はようやく品川に到着。今乗っているのは特急で、品川の次は青物横丁に停まるらしい。ん~、それでは京急名物の120km/h走行を楽しめないじゃないか!ということで品川駅で小休止。ホームでコーヒーを飲みつつ快速特急を待つ。やはりスーツ姿のサラリーマンが多いがカジュアルな服装の人も案外多い。向かいのホームからはくるりの「赤い電車」の接近メロディーが聞こえてくる。コーヒーを飲み終わり、ほどなくして快速特急が入線してきた。

快速特急の車両は2ドアで、ちょっとした優等列車のような風格だ。出発直後はノロノロ運転が続いたものの、しばらくして結構な速度まで加速した。高架なので見た目的な速度感はあまりないが、揺れ方が結構凄い。うまく説明できないが、いかにもスピード出してまっせ~というような揺れ方をする。標準軌で多少安定性が高いはずなのにこれだから、やはり相当なスピードを出しているのだろう。京急蒲田京急川崎と停車していく。川崎で結構な数の乗客が下車し、立っている乗客は大分少なくなった。ここから横浜までが京急の本領発揮区間だ。昔京急に乗っていたとき、横浜駅を数十秒前に出発した東海道線を追い抜いてしまう場面に出くわしたことがある。今はどうか分からないが、横浜-川崎間に限れば京急のほうが速いのだ。

そんな感じであっさり横浜に到着。しかし思い付きで来てしまったのでやることもなく、適当に駅前をぶらつく。横浜まで来れば何かあるだろうと思ったが、地下通路にあった大型書店を除くと特に見どころがない。あまりに何もないのでgoogleマップを開くとTENGAショップなるものが出てきた。どんな店かと思って行ってみたら、大型ショッピングセンターの中にあるらしい。女子高生が多いし、TENGAショップがあるとは想像しがたい。

 

館内を適当に歩くが、アニメイト以外に心惹かれる店は見当たらない。ようやく目当てのTENGAショップにたどり着いた。正直思ったほど広くないが、関連グッズも多数あり、言われなければTENGAがあると気付かない。しかも女性向けアパレルショップのような雰囲気で思わず入店をためらってしまう。

 

そんなことをしているうちに日も傾き始め、「いかん、そろそろ帰らねば」と思い横浜を後にする。結局横浜では1円も使わずただ散歩しただけだった。何という時間の無駄遣い…

帰りは東急東横線で渋谷まで向かう。東横線は学生時代就活していた頃度々利用していたが、社会人になった後は1度利用しただけで、およそ10年以上ぶりだったと思う。当時は武蔵小杉の開発がほとんど進んでいなかったはずだが、今やタワマンが立ち並ぶ別世界だ。そんなタワマンの割と近くに昔ながらの町中華があったりするのが面白い。東横線と言えば田園調布や自由が丘など高級なイメージのある路線だが、車内から見た限りでは町がごちゃごちゃしてるし、ぶっちゃけ地元の東武線の車窓と大差ないな…と思ってしまった。すぐそばでいちゃつく高校生カップルにイライラしつつ渋谷に到着。

 

渋谷は今も発展著しい街だ。少し前にヒカリエとかいうのが出来たはずだが、次から次へと開発が進み、今なにをやっているのか把握出来ない状況だ。とりあえずハチ公前に出たいのだが、東急からハチ公方面へはどう行けばいいのだろう。とりあえず案内板に従って歩くが、自分がどこにいるのか全く分からない。大分回り道をして何とかたどり着いた。

 

スクランブル交差点はこの日もお祭りマンボ状態だ。やはり外国人観光客が多い。ここは1年前の夏にも来たが、この日は気まぐれでスクランブル交差点の目の前、大盛堂書店に初めて入ってみた。中は地上2階・地下1階構成の普通の本屋。1階は騒々しいが2階に行けば驚くほど静かで、すぐ近くに山ほど人がいるとは思えない。悩んだ末にカイジの最新刊を購入。

その後センター街周辺を歩き回る。この日は昼食をろくに食べていないので、少し早めの夕食をとっても良かったのだが、どの店も満席だ。西武百貨店に入ると割引された総菜が並んでいたが、これを持って帰宅ラッシュの電車に乗り込むのも嫌なので断念。お腹を空かせて渋谷駅に戻ってきた。

単に帰宅するなら半蔵門線を使った方がいいのだが、あえて帰宅ラッシュのJR各駅も見てみたい。そんな気まぐれでJRのハチ公口改札をくぐる。渋谷駅も改装中で、一層混雑度合いが増したように感じる。山手線は島式ホームに変わっていた。ほどなく新宿方面の列車が到着したが車内は満員で、やむなく列車を見送る。次に来た列車は何とか通路側に入り込めた。

新宿からは中央・総武線各駅停車で秋葉原まで向かう。新宿駅も鬼のように混んでおり、コミケを彷彿とさせる。中央線快速の方はかなり混雑しているがこちらは席が埋まりちらほら立っている乗客がいる程度。市ヶ谷から見える外堀も懐かしい。飯田橋あたりから若干乗客が増えるが、御茶ノ水から一気に乗客が増え、身動きが取れなくなる。次の秋葉原で大きく乗客が入れ替わり、それに乗じて降車。ホームの自販機で甘いジュースを買い、一息入れてから上野方面へ向かい、北千住から東武線で帰宅した。帰りに夕食を買いに駅前のスーパーに立ち寄ったが、総菜類が全て売り切れで、結局この日の夕食は自宅で茹でたパスタとなった。

 

そんな訳で今回も暇を持て余したおじさんの一人旅となったが、こんな雑な休日の過ごし方が許される環境に感謝したい。ちなみにこの2ヶ月後、もっと本格的な鉄道旅行に出かけるのだが、それはまた次の機会に…

【暇つぶし一人旅】北関東を巡る旅 高崎編

そんなわけで猛暑が続いているわけだが、こう暑いと徒歩やバイクはもちろんのこと、車ですら乗りたくなくなる。想像してみて欲しい。炎天下の中、渋滞にはまりながらエアコンをガンガン効かせて排ガスを垂れ流す車を。もはや地獄絵図だ。それなら電車やバスの方が気楽だし、環境にもいい。そんなわけでまたしても鉄道で出かけることにした。

(この記事は8月に執筆していたものですが、諸事情あり公開が遅れてしまいました。少し前の記事であることをご了承ください。)

 

どこに向かおうかと考えた結果、私の出身地である足利方面に行くことにする。前回帰省した時は市街地まで行かなかったし、伊勢崎とか東武鉄道末端部がどうなってるかも見てみたい。Googleストリートビューで見た限りでは太田駅周辺も変貌したようだが、その辺も気になる。

 

そんなわけで、久喜駅までは半蔵門線東急田園都市線直通の10両編成の急行に乗車。外はうだるような暑さだったが、列車の中は快適そのもの。列車に乗ったのは昼15時頃で閑散としてるかと思いきや、案外乗客が多い。10両編成は久喜駅止まりで、ここからは6両編成の列車となる。車内は立ち客が少しいる程度。次の鷲宮駅で乗客が一気に降りていったが、ギリギリ座れない状態が続いた。

加須駅で特急の待避を行うため、しばらく停車する。何となく後ろの方の車両を見たらガラガラだった。なんだ、最初から編成の後方に行けば良かった。

座席に座り、何となく景色を眺める。夏の日差しに照らされて強烈な色彩を放つ植物と、赤い車。私も赤い車と赤いバイクに乗っているが、ビビッドな赤色といえば何といってもイタリア車だろう。フェラーリはもちろん、フィアットの500もいい。私のベスパもどちらかといえばフィアットっぽさを感じるデザインだ。

話がそれてしまった。ここは学生の頃下宿と実家の往復で何度も通った路線だが、当時から車窓はあまり変わっていないように見える。強いて言えば、少し設備が老朽化したような印象だ。子供の頃は綺麗だと感じていた加須駅の駅舎も少しくすんだように見える。あと外国人が増えた。私が乗る車両にもアジア・中東系が数人乗っている。この近くのイオンモール羽生には車が大挙して押し寄せているはずだが、20分間隔で走る6両編成の車内はかなり余裕がある。人口は決して少なくないのに、皆鉄道を使わない。まさに車社会だ。

羽生を過ぎると乗客は更に減少する。見たところ若い人と高齢者が多いが、スーツ姿のおじさんもいる。雄大利根川を渡ると川俣駅。ここは駅前に真新しい建物があった。聞けば川俣駅がある明和町は立地工場からの税収が豊かで、財政が潤っていると聞く。

少しすると分福茶釜で有名な茂林寺前駅。ここは少しくたびれた光景だ。向かいのホームでは、地元のヤンキーが大声で電話していた。その次はこの列車の終点、館林である。館林は昨年10月くらいに散歩に来たことがある。どうでもいいことだが私の元上司(定年退職し、再雇用中)も来たことがあるという。館林は小泉線と佐野線が乗り入れる大きな駅だ。と言っても小泉線も佐野線も本数は少なく、ホームは5つしかない。それも島式ホームに切れ込みを入れた構造だ。その割に広い構内は貨物輸送の名残りである。かつては館林から浅草方面へ最高10両編成の通勤列車が出ていたが、私が聞く限り今は10両編成は定期列車として運行されていないはずだ。列車は減速して広い構内に入り、小刻みに揺れながらホームに入っていった。

 

 

せっかくだし駅舎を観察したかったが、乗り継ぎ列車がすぐ出てしまうらしく、そのまま伊勢崎行き列車に乗り込む。ここからは3両のワンマン列車で、単線区間となる。都心直通の10両編成が走っていた久喜駅を出てから40分程しか経っていないのに、この変貌ぶりは驚きだ。私が子供の頃は伊勢崎から浅草まで直通運転していた。30分ごとの列車間隔が維持されているとは言え、何とも寂しい状況である。

車内は学生と若い女性、スーツの男性もいる。3両とは言えギリギリ座れる程度の乗客数だ。

そんなこんなで出発。この区間を乗車するのは数年ぶりとなる。基本的にはダラダラ走ることで有名な東武鉄道だが、館林から多々良までの区間はなぜか結構な速度を出す。これは昔から変わらない。車窓は足尾山地の山々が近づいてくる。関東平野の末端部も近い。

多々良駅の北側には牧場があり、牛が草を食べるのどかな風景が見えたが、だいぶ前になくなり、ただの空き地になっている。

多々良を出ると田園地域を走り、浅草側から見て初の無人駅となる県駅。ここは駅前に数件の民家しかなく、一見利用者なんていなさそうだが、少し離れたところにそこそこの集落がある。また近くに高校があるため、朝夕は学生の利用者が多いのだ。最近工業団地の造成が始まったことで、駅前風景も変貌しつつある。ここで特急列車とすれ違う。

列車は更に田園地域を走り、福居駅に到着。福居駅は広い構内が特徴的だが、余分な設備が取り払われてからは大分寂しい光景になってしまった。今度は普通列車とすれ違う。

その後すぐに東武和泉駅に到着。ここは伊勢崎線唯一の棒線駅だ。ここは工業高校の最寄駅で、私の同級生も何人か通っていた。

車窓は高層マンションや商業施設が目立つようになり、高架を上がると渡良瀬川の対岸に山を背景とした旧市街が見える。この景色は通学中に何度も見た光景だ。私が子供の頃は5階建のキンカ堂がランドマークだった。それが私が中学か高校あたりでNPOの施設になり、社会人になる頃には取り壊され結婚式場になっていた。今は白鵬大足利高校で工事中らしい。ここも私の同級生が通っていた。彼曰く「一夜漬けで勉強したらクラス1位になった」と自慢していたが、本当だろうか。ともかく、足利市駅に到着すると乗客が一気に降りていく。

それから高架線のまま山を回り込んでいき、野州山辺駅に着く。駅前はスーパーを中心とした商業施設とパチンコ屋があり、広大な駐車場を備えている。これならパークアンドライドに使えそうだが、利用出来るのだろうか。

その後すぐに地上に降りて田園地域に戻り、韮川駅に着く。ここで再び特急列車とすれ違う。韮川駅を出ると巨大な工場と立派なビルが見える。おそらくスバルの工場だろう。高架線になると立派なビルが一層良く見える。

太田駅伊勢崎線小泉線桐生線が乗り入れる。館林と同じく3路線が乗り入れるターミナルだが、館林と異なるのは高架化されたこと、そして小泉線桐生線が一体的に運行されており、2面4線しかないことだ。私が子供の頃、呑龍に行くために太田駅を利用したことがあるが、随分小綺麗になったなと感じる。駅前には大手ホテルも出店し、きれいに整備された地方都市という印象だ。実際太田市は人口増加が続いており、人口規模は高崎・前橋に次ぐ3位。群馬県東部の中心都市の役割を担う。衰退が続く桐生・足利と好対照だ。ここで乗客がそこそこ入れ替わり、乗客数は微増した。太田を過ぎると休日昼間は1時間に1本まで本数が減る。埼玉南部に高架複々線を有する路線とは思えない変貌ぶりである。ただ3両編成はガラガラだろうと思いきや、全員が1人分の間隔を開けて座ればちょうど席が埋まるくらいの状況である。私みたいな暇人が座席を独占するのも忍びないので、さりげなく立ち上がり最後尾から後方の車窓を眺めることにした。

太田駅を出るとすぐ高架線を降り、何の変哲もない住宅地に入る。ここはほとんど土地勘がないのでひたすら農村と畑、時々工場という印象しかない。だが重要なのは、住宅は決して少なくないし車はバンバン走っているということだ。

 

両毛地域は日本全国で見ても車社会化が高度に進んだ地域である。なぜこれほど車社会化が進んだのか。理由は色々あるだろうが、両毛地域の事情と工業化が挙げられると思われる。

詳細は後で書こうと思うが、両毛地域というのは人口5万~20万の都市が分散しており、その間を埋めるように広大な田園地帯が広がっている。古くは桐生・足利で織物業が盛え、この地域を中心に栄えていたが、東京都心からそこそこ近いという利点もあり、郊外に多くの工場が設立された。郊外にあるので、大半の人は車通勤をする。また都市が分散しているため鉄道利用者が増えず、結果的に両毛地域は車社会化した。車社会はほかにも多数あるが、特筆すべきは都心からの距離と人口の多さだと個人的に分析している。

 

また話がそれてしまった。ここは昔から本数の少ない区間だったが、列車交換設備はほとんどの駅で整備されている。境町駅付近は小さな商店街があるが、それ以外は駅前が発展しているわけでもなく、淡々と農村が続く。それでも乗客の乗り降りは少人数ながらコンスタントに続いていた。剛志駅のあたりで高架線を上り、国道17号上武道路を越える。遠くに伊勢崎の新興住宅地が見えた。駅前に住宅地を作ればいいのにと思ってしまうが、そこはやはり車社会といったところか。

新伊勢崎駅手前で再び高架を上ると、空き地のままの駅前広場が見えた。これから何か整備するのだろうか。遠くには相変わらず住宅地やマンションが見えるが、駅前が特に発展しているという感じではない。駅前より郊外が賑わうという車社会の構図がここにも見える。新伊勢崎駅を出ると、すぐ東武伊勢崎線の終点・伊勢崎駅だ。

ここはJR両毛線に接続する。伊勢崎線という名が付いてるのだから随分栄えているのだろう…と思ったら、ぶっちゃけ太田の方が栄えている印象だ。ここも太田同様高架化されている。なぜこうも高架化したがるのかと疑問に思ったが、これもやはり車社会化の影響と言える。車の交通量が多ければ、少し踏切が閉まっただけですぐ渋滞してしまう。鉄道で何か障害が起こりノロノロ運転でもされたらもう大変だ。鉄道によって街が分断されている!早く高架化しなくては!と言われるのも当然の流れである。私が住む春日部もまさに高架化工事が進行中だが、車社会化した地方都市ではとにかく高架化が求められるのだ。

改札階に降りてみると思ったよりもこじんまりとしている。駅の通路は広いもののコンビニくらいしか見当たらず、がらんとしている。ここにも栃木駅同様ストリートピアノが置かれていたが、演奏してる人はいない。

駅の外に出てみるとミスト噴射装置が霧を放っていた。しかしそんなものが気休めにもならないくらい暑い。伊勢崎市も真夏は日本最高気温をマークすることがあるくらい暑い街だ。

ここから両毛線に乗り換えて高崎に向かうことにした。ダイヤを見ると高崎行きはあと10分くらいで出るらしい。特にすることもないので改札内に入り、缶コーヒーを買う。飲みながらゆっくり列車を待とうと思いつつホームに上がると、既に211系列車が待機していた。この型式はかつて宇都宮線高崎線をバンバン走っていたが、E231系に駆逐され、今では中古車両としてローカル線に充当されている。両毛線はほぼほぼ半自動ドアになったらしく、ボタンを押さないとドアが開かない。列車に乗り込んでみると若者と外国人が多い。大泉町よろしく伊勢崎も工場で働く外国人が多いと聞く。

 

↓この動画でも紹介されているが、思った以上に外国人が増えてるみたいですね。伊勢崎も大泉も国道354号沿いです。

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出発するとすぐ高架を降り、再び退屈な田園風景の中を走る。前橋駅の手前、再び高架を上がると見事な山容の赤城山が見えた。このなだらかな裾野を見ると赤城山だな~と感じる。ほんの数ヶ月前、長野県ドライブの帰りに赤城山の麓の道路を走ったが、あの時は前橋の市街地を望むことが出来た。近くに山が全くない春日部在住の私としては、気軽にドライブできる道があるのはうらやましい。そんなこんなで前橋駅に到着。さすがに乗降客は多いが、やはり若者の入れ替わりが激しい。その後複線だった線路は単線となり、北関東で最も高いと言われる群馬県庁(うちの父は分不相応とかボロクソ言ってたが)を眺めながら利根川を渡ると新前橋駅新前橋駅上越線との分岐駅で、駅の広さだけで行ったら前橋駅よりも上だ。そこからはまた複線となる。この高崎-新前橋駅間は両毛線だけでなく上越線吾妻線も重複して運行されており、本数は多そうに見える。こうして前橋を出て十数分後に高崎に到着した。

高崎駅に来たのは数年ぶりだ。しかも改札を出て散策したのは子供の頃以来となる。当時健在だった祖母と来た気がするが、ほとんど記憶に残っていない。

駅の西側に行ってみると中々活気がある。大宮も人は多いが高崎には大宮みたいな猥雑さがない。ペデストリアンデッキも整備されていて、大宮より健全だな

と思ってしまった。何となく東急ハンズに立ち寄り歯間ブラシを購入した。最近歯医者に行ったら歯石が大分付いていたらしく、フロスや歯間ブラシを勧められていたのだ。

駅の東側は巨大なヤマダ電機以外めぼしいものがない。どうやらメインゲートは西口のようだ。暑さから逃れるためゴキブリホイホイの如くヤマダ電機の中に吸い込まれてしまった。中には家電以外にもフィットネス用品や自転車、家具まである。大宮のビックカメラもそうだが、最近は家電だけでは立ち行かないのだろうか。

その後駅に戻り駅ビルを物色する。駅ビルはルミネのような煌びやかさはないが、いろんな店が揃っている。気の利いた居酒屋もあり、思わず入りたくなる。居酒屋の誘惑を絶ち改札に向かうとお土産屋があった。せっかくなのでせんべい類を買い、そのままホームに向かった。

ホームで買った缶コーヒーを飲みながら出発を待つ。10両編成の列車はガラガラで、最後尾のクロスシートも余裕で座れる。冷房もしっかり効いてて快適だ。高崎を出た後、本庄あたりで一人乗車してきた以外は熊谷あたりまで乗降がなかった。最後尾だからというのもあるだろうが、日曜夕方の高崎線上りはいつもこんな感じなのだろうか。籠原で5両増結され、15両編成となる。そのうち日が暮れ景色を眺めることも出来ず、スマホゲーム以外にやることがなくなってしまう。桶川と上尾でどかどかと乗り込んできた以外は特に変化もなく、そのまま大宮に到着した。ルミネの総菜屋で適当に弁当を買い、そのまま帰路に着く。

そんなわけで今回は本当に暇つぶしの旅になってしまったが、久しぶりに思い出の地に赴くことが出来て良かった。今度は東武線末端部、佐野線・小泉線桐生線上毛電気鉄道あたりに乗車してみたい。

遅刻防止策と、「遅刻」から見えてきた上司たちの本音

今日不覚にも遅刻してしまったのだが、それを振り返ってみると、色々学ぶべき点というか、この会社の暗部が見えてきた。これから書くのは怒られた腹いせではない…と言いたいところだが、9割9分腹いせである。

※最初に断っておきたいが、私は遅刻を悪く思ってないわけではないので、そこだけはご了承頂きたい。

 

昼休み終了後、私の上司(部長)は課長経由で私を呼びつけ、会議室に招いた。さりげなくスマホを取り出して録音を開始し、会議室に入室した。

早々に「何で呼ばれたか分かるか?」と聞かれた。もちろん遅刻のことだ。部長はこの時点で既に仕置きモードで、これはこっぴどく怒られそうだなと察する。

元々部長は悪人顔だが、この時の部長の表情はもっと忌み嫌うべきもの…言っちゃ悪いが「汚い顔だな」と感じた。顔にそれまでの人生が現れると言うが、部長の顔に着任当初の若々しさは一切なく、負の感情が満ち溢れていた。私の知らないところで相当汚いことをしてきたのだろう。

 

その後部長は遅刻した理由を根掘り葉掘り聞きだした。何か一言話すたびに「何で◌◌しなかったの?」と怒りを抑えたような口調で詰めてくる。

だが色々話すうちに、部長は自分をお荷物としか思っていないことに気づいた。その証拠に、部長との話には「どうすれば遅刻せずに済むか?」といった建設的な意見が出なかった。三連休で熱中症気味になって睡眠不足になったと言っても、全く気遣う素振りはなかった。

最終的には「もっと早く来い!」「新入社員じゃねえんだからよ!」みたいな吐き捨てる言葉ばかりだった。ストレスをかけて退職に追い込もうとしていると言っても過言ではない。この時点で東証プライム企業の部長としてはかなり問題だと思うのだが、ここで言い返しても自分にメリットはない。仕方なく黙って聞いていた。

 

結局のところ、この部長は自己保身しか考えていないのだ。部内に欠勤者が出ると、当然ながら管理職は責任を問われる。私みたいな困った社員はいない方がいいのだ。さすがに言い返したりはしなかったが、結局この人は部下を何とも思っていないのだろう。

その証拠にこの部長は面倒な仕事を課長に押し付け、課長が深夜残業&休日出勤しているというのに、自分はほぼ毎日定時で帰っている。ちなみに明日は有休を取るそうだ。思わず「いいご身分だな」と言いたくなる。

あるいは人事部の手前本人に指導したという建前が欲しかったか、それとも単にストレス発散かもしれない。それとも、どうすれば遅刻をなくせるか?を考える能力がないのだろうか。いずれにしても、こんな部長は信用に値しない。

会社の業績も悪いらしいし、本音としては転職を検討したいところだが、同僚がいい人ばかりなので、この人達とは離れたくない。結局部長の言葉を受け流しつつ、遅刻しないよう行動するしかないか。

もし自分が管理職だったら、こんな対応は絶対にしない。個人的には、誰にでも止めたいのに止めれない悪癖があると認識している。それはいわゆる業みたいなもので、本人の意思で簡単に止めることは出来ない。つまり遅刻という問題は精神論では解決出来ないのだ。

私だったらこのようにすると思う。

  1. 帰宅後の行動をモニタリングし、どんな行動をしていたかを表にまとめる
  2. その中で改善すべき点がないかどうかを調べ、行動予定表を作る
    (出来れば帰宅時刻に応じて何パターンか作る)
  3. その行動を実際にやってみて、実現可能かどうかを調べる
  4. 実現可能だった場合、その生活をしばらく継続し、習慣化する
  5. うまくいかなかったら都度調整する

重要なのは、どうすれば遅刻が収まるかを冷静に論理的に考えることだ。絶対に感情的になってはいけない。

もちろん私はこれが出来ていなかったわけだが、自分の席に戻ってから早速上記のような計画を練り、行動予定表を作ってみた。明日遅刻したらただじゃすまないが、果たしてどうなることやら…

ちなみに録音していたことは上司には知られていない。こいつはいざという時役に立つだろう。

関東鉄道常総線乗車記

ファスト風土」という言葉が世間を賑わせてから約10年。

10年の間にファスト風土に対する意見や批判、また時代の変化もあり、「再考 ファスト風土化する日本」という本が出版された。

 

個人的には、ファスト風土は見えない貧困の象徴だと考えている。大手チェーンは安くて高品質なサービスを提供してくれるが、もはや多くの日本人は大手チェーンの安いサービスなしで生きれないほど貧しくなっている。だが表面上は高品質なサービスを享受しているから、貧困には見えないのだ。

(付け加えると、安くて質のいいサービスはサービス残業含む長時間勤務で成り立ってきた。働き方改革でそれらが規制された結果、日本企業のレベルは著しく低下している)

そのほか日本固有の文化や社会のつながりが失われているのは私も同感だし、このままではまずいと思いつつも、正直著者の偏見や思い込みがかなり多いと感じる。

 

ともかく、こういう本を読むと、やはり地方都市の実態をこの目で確かめたくなるものだ。

どうせ家にいてもやることがないし、今まで乗ったことのない「関東鉄道常総線」に乗って北関東へ足を運ぶことにした。

ダラダラ書いてるうちに5000文字を超えてしまったので、流し読み程度に読んで頂ければ幸いである。

 

まずは東武アーバンパークライン東武野田線)で流山おおたかの森駅に向かう。

今日の天気は曇り時々晴れ。曇っていたとはいえ最高気温は30度近い。

ただでさえ暑いというのに、自宅から最寄り駅に向かう途中、スマホを部屋に忘れてしまい、予定の電車に乗り遅れた上、無駄に汗をかいてしまった。

適当に待合室で時間を潰し、柏方面へ向かう列車に乗る。

車内は乗客もまばらで空調も効いて快適だった。電車に乗るのが珍しいのか、おじいちゃんに連れられて車内ではしゃぐ女の子がほほえましい。

そんなこんなで流山おおたかの森に到着。乗り換え客が多いこともあるだろうが、とにかく賑わっている。それも大宮や南越谷と異なり、健全な賑わい方だ(失礼)

のんびりつくばエクスプレスの乗り場に向かうも、ホーム到着寸前に守谷方面の列車が出発。またしても待ちぼうけを喰らう。

それにしても暑い。考えてみれば私ももう39歳のメタボ予備軍だし、暑さに対する耐性が落ちているのかもしれない。

 

列車を待っている最中、遠くでロックミュージックを演奏しているのが聞こえてきた。

今日はイベントでもやってるのかな、全く聞いたことがない曲だな…などと考えているうちに向かい側のホームに秋葉原行き列車が到着した。

昼の15時ごろだというのに、随分乗客が多い。見渡してみればこの流山おおたかの森周辺もマンションだらけで発展している。つくばエクスプレス第三セクターの中でも異例の成功を収めているが、元々何もなかったところに街と鉄道が出来て、たった十数年前でバンバン人が行き交うようになるとは、にわかに信じがたい。

 

そんなことを考えているうちに守谷行き普通列車が入線してきた。



元々車内はさほど混雑していなかったが、この駅で一気に乗客が降りてガラガラとなった。

私を迎え入れたのは運悪く弱冷房車。弱冷房って言ってもそんな蒸し暑いわけじゃないだろうと思って乗り込んだら、普通に蒸し暑かった。しかし今から車両を移るのも面倒だし、守谷駅まではすぐなので我慢することにした。

 

そして列車は守谷駅を出発。次の停車駅は柏の葉キャンパスだ。

このつくばエクスプレスは速さにも定評があるが、普通列車だからと言って甘く見てはいけない。惰性運転してないんじゃないかというくらい、一駅移動するにも全速力なのだ。そこそこ距離があるはずなのに、驚くほどの速さで柏の葉キャンパス駅に到着する。

この柏の葉キャンパスつくばエクスプレス開通で激変した街だ。元々東大のキャンパスがあるくらいで、国道16号沿いの微妙なエリアだったのに、今や超高層マンションがバンバン建ち、まるで別世界である。国道16号は何度も通っているが、16号沿線には柏の葉T-SITEという蔦屋書店の施設も存在する。

 

次の停車駅は柏たなか駅。ここは利根川近くの台地上に真新しい住宅地が形成されている。当然つくばエクスプレス開業に合わせて開発されたはずだ。東急も真っ青の開発ぶりである。

 

柏たなか駅を出ると、利根川沿いの低湿地の上を通る。眼下には抜け道になっている農道と、そこに連なる車列が見える。ここも私がよく通る道だ。

そして利根川をわたるのだが、曇りだというのに川沿いの緑がまぶしい。進行方向左手には常磐自動車道が見える。TXの最高速度は130km/hだから、よほど飛ばさない限りこちらには追い付けないだろう。

 

そして再び住宅地に入ると、終点の守谷駅に到着。ここは元々関東鉄道常総線が通っていたが、やはりつくばエクスプレスで激変した街である。ここから関東鉄道常総線に乗り換え、下館へと向かう。

改札を出て正面にはフードコート、左に進むと関東鉄道の改札がある。券売機ではアラブ系と思しき外国人集団が悪戦苦闘していた。時刻を見ると、あと10分ほどで下館行きが出るらしい。



ただ、このまま電車に乗ってしまうのも面白くない。せっかくなので駅周辺を散策してみよう…と思ったが、中々の暑さにやられてフードコートに逃げ込んでしまう。

さてフードコートに入ったはいいが、別に食べたいものがない。結局すぐフードコートを出て、関東鉄道の駅の方に戻る。

駅改札口の脇にはコンビニとお土産店、コーヒーショップがあった。何となくお土産店に入ってみると、土産物に混じってぬれせんべい等の銚子電鉄グッズがあった。

それから岩井銘菓のせんべいもある。岩井とは坂東市のことかなと思い裏面を覗いてみたら、やはりそうだった。せっかくなのでこれと銚子電鉄ぬれせんべいを買った。

そうこうしているうちに例の下館行き列車が出てしまう。時刻を見ると、約20分後に水海道行きが出て、その10分ほど後に下館行きが出るらしい。ほかにすることもないので、次の列車まで時間があるが改札の中に入ってしまおう。

関東鉄道つくばエクスプレス、どちらの駅も2面4線構造だが、駅の印象は大分異なる。当たり前だが関東鉄道の方が若干古臭い。ポスターも地元色が漂う。

待合室で缶コーヒーを飲んでいたら、ホームへ向かうエスカレーターからブザーが鳴った。利用客がエスカレーターを逆走しそうになったらしい。右のエスカレーターがホーム方面、左がホームからコンコース方面で進入禁止になっているのだが、間違えてこっちに侵入してしまったらしい。面白いことに、その数分後別の客がまたブザーを鳴らしていた。それを笑っていた私もいざ乗る時に間違えそうになった。なぜかは分からないが、人間工学的な問題があるのだろう。

 

やがて水海道行き列車の発車時刻が近づいたので、ホームに降りてみる。既に単行の気動車が待機していた。だが予想に反して席が埋まっており、乗るのをためらってしまう。水海道まで気楽に移動し、そこで下館行きを待ってればいいやという目論見が外れ、結局累計30分近く待って下館行きに乗ることになった。

10分後に来た下館行きも1両編成で若干立ち席が出る程度の乗客数だった。乗った印象としては、乗客が多く複線であることを除けば、地方でよく見るローカル線と特に違いはない。車両は年数を感じさせるし、よく揺れる。最高速度は80キロ程度。つくばエクスプレスとの落差が激しい。

ただ水海道駅で乗客の多くが下車し、路線も単線となる。水海道以南は複線にするほどの需要があるものの、聞けば地磁気観測所に配慮するため非電化にしているという。同じ理由でJR常磐線水戸線はつくば周辺では交流電化になっている。昔は直流から交流に切り替える際車内の照明が消灯して夜中は真っ暗になったそうだが、最新型車両はそんなことはないらしい。複線非電化といえば北海道が思い浮かぶが、非電化=需要がないというわけではないのだ。

そんな複線区間も終わりを告げ、車窓も田園風景が目立つようになり、水海道からは一気にローカル色が強まる。進行方向右手には雄大筑波山が見える。この路線、基本的には鬼怒川沿いの集落を結ぶ形で走るため、沿線に民家はそこそこあるのだが、ここは本格的な車社会であり、人口の割に鉄道利用者は少ない。

そんな田園風景も、下妻までは低地に広がる田んぼが多かったが、そこから先は台地と畑が増えてくる。数年前洪水被害が大きかったのも下妻から水海道にかけてのエリアだった。日本最大と言われる関東平野もずっと平坦なわけではない。

駅のホームは4両編成くらいまで確保されているらしく、ホームの端っこには雑草が目立つ。植え込みっぽいところにまで雑草が生い茂ってるのを見ると、あまり管理が行き届いてるようには見えなかった。地域によっては地元住民がボランティアで花を植えてる所もあるし、何かいい取り組みが出来ればいいんだけどね。

乗客は下館に近づくにつれて減少し、守谷出発時でほぼ満席だった車内は、最終的に乗客6~7人程度になった。それでも30分~1時間に1本の列車にこれだけ乗っているなら、決して需要は少なくないのだろう。

 

そして列車は無事下館駅に到着。

向かい側のホームにはローカル線を思わせるオレンジ色の車両が発車を控えていた。

 

改札口は簡易型PASMOで、そのままJR水戸線の乗り換え口に通じている。下館駅はJR水戸線関東鉄道常総線真岡鉄道の3路線が乗り入れるターミナルだが、その割にはこじんまりとしていて、どことなくローカル色が漂う。

ここから埼玉の自宅へ戻るべく小山方面の列車を調べると、出発は30分後とのこと。

改札から出ても出なくても料金は一緒なので、せっかくだし駅前を散策することにした。

改札を出ると、左側にNewdaysがあったが、営業時間は何と平日朝のみとのこと。完全に通勤通学客向けなのだろうが、こんなピンポイントな営業時間は初めて見た。

 

そして駅舎から出ると、目の前に巨大なショッピングセンター…に入居する筑西市役所が。駅前広場は地元のおっちゃんが何かを飲みながら歓談している。

 

駅前には青木繫の作品「海の幸」のレプリカがあった。調べてみると一時期筑西市に滞在していたことがあったという。ベンチに腰掛けてみたが、足元を何匹もアリが歩き回っていたので早々に立ち去った。

筑西市役所の前に来ると、どう見てもショッピングモールのフロア案内にしか見えない看板に「筑西市役所 ◌◌課」の文字が並ぶ。

立派な建物だ。大きな立体駐車場もあるし、昔は賑わったのだろう。ちなみに幼少期真岡鉄道のSLに乗りに来た際、下館駅には来たはずなのだが、賑わっていた頃の様子がどうも思い出せない。

駅前の歩道橋を上がってみると広場が一望できる。それにしても学生が多い。駅前にいるのは地元の学生と高齢者ばかりで、私と同年代の30~40代が全く見当たらない。例の「再考 ファスト風土化する日本」にも載っていたが、これこそファスト風土化した地方都市の実態だ。車が使える人は郊外に出てしまい、駅周辺が高校生&高齢者のための空間と化している。中心市街地は空洞化が進み、駅前徒歩圏で買い物が出来なくなる。結果車がないと生活が成り立たなくなり、大手チェーン店で占められたロードサイド店舗に頼るしかない。こうして一層郊外化・ファスト風土化が進むのだ。

ともかく高校生をかきわけて改札を通り、列車を待つ。列車を待っている間にも次々高校生がやってくる。いくら夕方とはいえ今日は土曜日。模擬試験でもあったのだろうか。見た感じホームで列車を待つ客の8~9割近くが高校生らしい。

やがて駅の両側から5両編成の列車がやってきた。

最後尾の車両に乗り込もうとしたら、ドアが開かない。水戸線のドアは半自動式でボタンを押さないと開かないのだ。

前の方の車両は学生でごった返しているが、最後尾は静寂そのもの。少し煙の臭いがしたが、今の時期野焼きはしてないよな…などと考えているうちに出発する。

気動車の走行感覚になれていたせいか、車内はとにかく快適。冷房もしっかり効いてるし、速いわりに振動も少ない。平凡な田園風景を眺めているうちに住宅地に入り、そのまま小山駅に着いた。小山は元々栃木市足利市よりも人口の少ない街だったが、今や県内二位の人口を擁し県南地域の拠点となっている。

私を乗せた列車は、ワンマン列車の水戸行きになった。水戸線もワンマン化されたのか…

帰りはJR宇都宮線の各駅停車熱海行きで南下していく。私は15両編成の最後尾に乗車。車内はガラガラで、インスタ用か分からないが、女子高生二人組が堂々と写真を撮るという自由ぶり。私もクロスシートに腰かけ、ようやくゆっくりできた。

途中貨物列車を先に行かせるため5分ほど停車した。貨物の優先度なんて低いものだと思ったが、よくよく考えたら貨物みたいな長大編成の列車を退避させる場所なんてないし、場合によっては貨物の方が優先されることもあるのだ。

そんな訳で今回は関東鉄道常総線で旅をしてきたわけだが、久々に気動車に乗れてうれしい反面色々と地方の実態を見せつけられてしまった。その翌日また久々に川越に出かけたのだが、こちらはファスト風土と好対照だったのでまた別の記事として書いてみたい。

いつの間にかHolaraが強化されていたので新機能をまとめてみた

イラスト生成AIの中でも使いやすさに定評のあるHolaraですが、先日新しいモデルが追加されました。ほかにも新機能が追加されたので、まとめて紹介してみたいと思います。

 

※本記事は2023年6月時点の情報です。

※今回紹介するのはすべて有料版の機能です。また、この記事はパソコンの画面を元に作成していますので、スマートフォンの操作画面とは異なります。

※当方、あまりAIについては詳しくないので間違いがあるかもしれません。ご了承ください。

 

 

1.モデルの追加

Holara model一覧

当初モデルはAikaとAkashaの2種類だけでしたが、2023年6月時点で8種類に増えています。詳細は公式discordに掲載されていますが、百聞は一見に如かず。実際の生成画像をもとにモデルを比較してみましょう。

 

サンプルプロンプト:

①best quality, girl, solo, standing, smile, long hair, blonde hair, blue eyes, big breasts,  cheerful++,  beach, bikini, ribbon

②girl, solo,  open mouth, long hair,  straight hair, red eyes,  cheerful++,   sailor, brown hair, garden, walking

 

Vibrance

Vibrance

Aika

Aika

Tranquility

Tranquility

 

Lucid

Lucid

Furry

Furry


Chroma

Chroma

Akasha

Akasha

Yami

Yami

 

どうでしょうか?

同じプロンプトでもモデルによって個性が出るので、自分に合ったものを探してみましょう。

 

2.Publish & Reference

新機能として、他のユーザーとイラストを共有できるようになりました。Publishで自分のイラストを公開し、Referenceで他のユーザーのイラストを見ることが出来ます。

 

①Publish

生成した画像の下の方に「Publish」ボタンがありますね。

 

ここをクリックすると、タイトルやコメントを入力する画面が出てきます。

Publishを押すとイラストが公開されます。

成人向けイラストは忘れずに「NSFW」を選択しましょう。

 

②Reference

Referencesボタン

画面右側のReferencesボタンを押すと、下の方に他のユーザーが投稿したイラストが出てきます。

画像をクリックすると、その画像のタイトルや投稿者、プロンプト等が表示されます。

Holara Reference

3.Image to Image

2023年3月に追加された機能です。既存の画像をもとにイラスト生成できます。

 

画面右側にある「Image → Image」ボタンを押すと、「Select or drop image here」という表示が出てきます。ここをクリックするか、画像をドラッグアンドドロップします。

 

参考に、大昔私が描いた絵を読み込んでみましょう。

右下のStrengthバーの値を大きくするとプロンプト寄りになり、低くすると入力画像寄りになります。

左のConvert Imageボタンを押すとイラストが生成されます。

細部は違うけど、大体似たような構図になりましたね。

(ちなみにFurryの方で試したらこんな感じでした。着物が…)

 

4.Variation

生成イラストを使って、先述のImage → Imageが使える機能です。

 

イラスト下のVariationボタンを押すと、画面右側にイラストがコピーされます。

 

後はImage → Imageと同じで、こんな風に細部が微妙に変わります。

 

途中でモデルを変えることも出来ます。

 

というわけで、今回はHolaraの新機能をまとめてみました。

Stable Diffusionとかと比べるとマイナーな感じですが、難しい知識も要らないし生成コストも安いので、応援の意味も込めて紹介記事を書いてみた次第です。今後もHolaraさんには頑張って欲しいと思ってます。

クリエイターがAIイラストを生かすには(自分用メモ)

画像生成AI(Holara)を使い始めてそろそろ2ヶ月になる。

あれ以来ほぼ毎日何かしら生成する日々が続いており、使い込むうちに色々な気付きを得た。

未だに画像生成AIを毛嫌いするクリエイターが多い印象だが、今後はむしろAIを使いこなすクリエイターこそ生き残ると感じている。

 

そんな訳で、今回の記事ではクリエイター向けAI活用法を考えてみる。

 

1.省力化(手間がかかる部位を描いてもらう)

個人的に、一番大きなメリットを感じたのはここだった。

何事も効率化が求められる時代だが、AIを駆使すれば作画を大幅に効率化することが出来る。

例えばゴスロリ風の絵。凝ったフリルを書こうとすると、プロのクリエイターでもフリルだけで1日かかったりする。

ところがAIを使えば、どんな複雑なフリルだろうと1分もかからず描画してくれるのだ。

そのフリル部分だけ上手く転用することが出来れば、クリエイターの負担が大幅に軽減されるはずだ。

 

 

2.キャラクター立案

イラストに限らず、漫画・小説・アニメ・ゲームなどの登場人物を決めるとき、

たいていはコンセプトやイメージを考え、それをスケッチ等の形にしながら検討していくと思うが、それを何枚も、時によっては数十枚数百枚も描くのは大変な作業だ。

ところが、画像生成AIにイメージ(プロンプト)を伝えてやれば、スケッチを短時間かつ大量に生成してくれる。

一切スケッチを描く必要がないとは言わないが、手を動かす時間が大幅に軽減されるだろう。

 

3.構図のアイデアを得る

その一方で、キャラクターイメージは固まっているのに、それを魅力的に描く構図が分からない、という人もいると思う。

そんなあなたのために、画像生成AIが無数の構図でキャラクターを描いてくれる。

あなたはその中で一番気に入った構図を採用すればよい。

 

 

私が実感したのはこんな感じだが、画像生成AIはクリエイターのための省力化ツールとなるポテンシャルを秘めている。

事務作業でいえば、面倒な繰り返し処理を自動でやってくれるRPAやマクロツールに近い。

さすがにAI単独で実用に耐えるレベルには達していないが、アイデアを得たり効率化するには役立つはずだ。

 

これまでは、作品を作りたくても画力がなかったり、時間がない人は、創作を諦めるしかなかった。

だがAIはそんな人に希望を与えてくれる。

AIに頼めば、24時間365日、文句も言わず指示通りのコンテンツを作ってくれる。

これによって努力や苦労を良しとする古い価値観から脱却し、「いい作品を作った奴が一番偉い」という至極当然の価値観をもたらしてくれるかもしれない。

Holaraで画像生成を試してみた

昨今のAI技術の発展は目覚ましく、特に2022年はDiffusion Model元年ともいえる年となった。シンギュラリティやデジタルネイチャーなんて遠い未来の話だと思っていたが、意外と早く到来しそうな気配がする。

そんな中趣味でイラストを描く私としては当然画像生成AIが気になるわけで、昨年は有料プランでないと画像生成出来ない!とか色々理由を付けて手を出さずにいたのだが、良く考えたら月10$ごときでガタガタ抜かす方が格好悪いな…と思い、昨日職場から帰宅早々導入に至ったわけだ。

イラスト向けといえばNovelAIかMidjourneyあたりが妥当かな?待てよ、StableDiffusionってのもあるな…とか色々考えてるうちに、Holaraというやつが濡れた質感を良く表現できるという噂を聞き、そちらを導入することにした。

大昔に登録だけして放置してたDiscordアカウントでログインし、クレジット決済すれば画像生成AIの世界に突入だ!

とはいえプロンプトに何を入れればいいか分からなかったので、ネットでそれらしいやつをコピーし、好きな要素を補足してGenerateした結果がこちら。

プロンプト:

high quality, girl, solo, standing+,(full length)+,bikini++,(Transparent Background)+++,cat ears, open mouth, long hair, pink hair, straight hair, red eyes, huge breasts, nsfw, cat tail, cheerful++

 

ネガティブプロンプト:

picture frame,gate,girl,lady,woman,mirror,pattern,circle,Spotlight,wall,lower body image,curtain,fog,cloud,haze,screen,background decoration,long hem,longbody, lowres, bad anatomy, bad hands, missing fingers, pubic hair,extra digit, fewer digits, cropped, (worst quality)++++, (low quality)+++++,(Alien eyes)+++, (unnatural eyes)+++,be partly in the frame,
(devil wings)++++,(Left and right eyes are different colors)++++++,
strange pattern,universe,scenery+++,(night sky)+++++,(Alien eyes)+++,(unnatural eyes)+++

 

ん~趣味がバレますね…

ネットで評判は聞いていたが、実際使ってみると、ちゃんとプロンプトの要素を抑えてるなと感じた。よく見ると変な箇所もあるし、絵柄の調整が出来ないのは難点ではあるが、うまく使えば構図の検討やキャラクターデザイン等の参考になりそうだ。クリエイターにとってもメリットは大きいだろう。

特筆すべきは、やはり速さだろう。プロンプト入力後、画像生成完了まで30秒もかからなかった。仮にイラストが気に入らなかったとしても、プロンプトを少しいじって生成し直せば、一瞬で修正版が上がってくる。

これは驚異的なことだ。普通のイラストレーターに頼めば、リテイクに数日かかるのは当たり前だし、そもそもリテイクは受け付けてないとか別料金とかいうことも十分ありえる。だがAIなら文句も言わず高々数十秒で修正してくれるのだ。もはや革命と言えるだろう。

ただ思ったのは、AIイラストを作ってる人でプロンプト(呪文)を公開しない人が多いということ。中にはプロンプトを有料公開にしてる人までいて、カルチャーショックを受けた。

こういう先端技術というのはオープンソースの精神が重要だと思っている。例えばアメリカ西海岸のハッカーたちは、有益な情報を無料で共有することで技術の進歩が加速し、新しいシステムやビジネスを生み出してきた。その精神はヒッピー・ムーブメントとも混ざり合い、Appleをはじめシリコンバレーの企業に今も受け継がれている。

かくいう私も、会社では業務効率化用のVBAツールをいくつも手掛けているが、社内の人間なら誰でも編集できるようにしている。「誰かがコードを改良してくれるんじゃないか」と期待しているからだ。だが残念ながら私のような人間は少数派らしく、パスワードで保護してる人ばかり…。

ともかくAI生成で利用したプロンプトは公開していくつもりなので、お暇なら参考にしていただければと思う。