高齢化が進むyoutubeと、Tik tokに移っていく若者

youtubeの高齢化

ほんの少し前まで、youtubeは子供や若者が見るものという認識が一般的だったと思う。中高年=テレビ、若者=youtubeという棲み分けが出来ていた。

ところが最近中高年youtuberや、明らかに中年以上をターゲットにした動画が増えてきた

具体的に言うと、昔を懐かしむ系の動画や、高齢ドライバー擁護、最近の若者は云々…といった、中高年目線の動画が増えている。しかもそれらの動画が案外伸びているのだ。つまり視聴者・投稿者共に中高年が増えている。例えばバイク動画に関して言うと、50歳過ぎのリターンライダーや、60歳になって二輪免許を取った人など、高齢投稿者が結構いるのだ。もちろんそういう動画の視聴者は同年代が多く、コメント欄に共感の声が寄せられている。

 

youtube vs テレビ」の図式

元々youtubeはテレビと比較されることが多かった。テレビで出来ないことがyoutubeで出来る。当時テレビはコンプライアンスでガチガチに縛られ面白い番組が作れなくなり、かつ高齢者に迎合して若者を軽視する傾向が強かったyoutubeは、そんなテレビ業界や、テレビが大好きな中高年層に対する反発の意味合いがあったのだと思う

 

これはニコニコ動画がいい例だが、昔のニコニコ動画は謎の一体感があった。ニコニコ動画発の文化が生まれたり、幕張メッセで「ニコニコ超会議」なるイベントが開催されるまでになった。youtubeではそういった大規模イベントは行われていないが、昔のyoutubeもテレビや中高年層への反抗心でまとまった、一つの文化圏だったと感じている。

 

しかし、その中高年が続々とyoutubeに参入してきた。その理由としては、周回遅れで中高年にもyoutubeの面白さが浸透したこと、あるいは中高年から見ても最近のテレビがつまらなくなっているのかもしれない。それとも億稼ぐyoutuberの話を聞いて、金に釣られたのだろうか。

 

youtubeの分断

その結果何が起きたかというと、youtube内部に分断が生じていると感じる。かつて反テレビ・反中高年でまとまっていたyoutubeに中高年が参入してきたことで、youtube内部に分断が起きているのだ。そして現在は、「トップyoutuber」と「それを批判する弱小youtuber」の構図が出来上がりつつある。マコなり社長の一件がよい例だろう。

 

反テレビの構図は変わらないだろうが、若者にとってyoutubeは居心地の悪い場所になりつつある。おそらくTik tokが伸びている理由の一つがこれだと思う。高齢者が増えたyoutubeに嫌気がさして、Tik tokに移動する人がそこそこいると推察する。

今の大学生は、もはやyoutubeすら見ない子も増えているようだ。youtube業界から若年層が抜けることで、中高年層の割合はますます増え、更に若者が出ていくというループに入っている。ちなみにツイッターですら若者が離れていっているらしい。

なお余談だが、youtubeはオススメ欄に表示されるかどうかが非常に重要で、フォロワー数が少ない人は不利な戦いを強いられる。要するに今から始めてもトップクラスのyoutuberにはなりにくい環境なのだ。一方Tik tokはオススメ動画のランダム性を重視しているらしく、フォロワー数が少ない人でもオススメ動画に表示されやすくなっており、いわゆるバズりやすい環境を作っているそうだ。この点もTik tokが若い層に受けるポイントかもしれない。

 

 

あと、これは完全に偏見かもしれないが、近頃頻発する炎上の犯人は中高年ではないかと思っている。

昔のyoutubeは変なことをやっている人がいても「変なやつがいるな」という程度で話題にもならなかった。だが今はちょっとでも変なことをするとすぐ炎上だ。そりゃあ動画を投稿することもためらわれるだろう。なぜこんなことになってしまったのだろうか。

私の肌感覚では、若者が炎上に加担することはあっても、炎上を扇動するようなことは滅多にない。そもそもyoutuberは若者がなりたい職業の上位にくる仕事だ。若者にとってトップクラスのyoutuberは憧れの的であり、批判に回ること自体考えにくい

炎上を扇動するのは、自己肯定感と寛容性を失い、身勝手な正義を振りかざす中高年が多いと感じる。人は正義を実践すると快楽を感じるように出来ている。正義を振りかざす人が多いということは、それだけ自己肯定感に飢えている中高年が増えているのだろう。その原因は貧困や人間関係のストレスなど様々だろうが、ともかく実生活が充実しておらず、他人を叩くことでストレス解消する中高年が多いのでは、と思うのだ。

それに「閲覧数が増えるほど稼げる」youtubeの収益システムが拍車をかけているフェイクニュースと同じ構図だ。過激な発言で大衆を扇動し、自己効力感を得ると同時に収入まで得られるシステムがある以上、こういったことは無くならないだろう。

 

若い感性を取り戻せ

若者の情報感度は高く、面白いものを見つけるのが得意だ。だが年を取るにつれて情報感度は鈍くなり、若者の感性を否定するようになってしまう。

若者がyoutube面白い!と言い出したころ、中高年は冷ややかな目で見ていた。そんな仕事で稼げるわけないだろ!とたしなめていた。だがyoutuberが仕事として定着してきた今になって、続々と中高年が参入してきた(何事もなかったかのように)。中高年は何をするにも腰が重いし、「自分が理解できないもの」を否定しがちだ。それは変化が少ない時代なら正しいかもしれないが、変化が激しい今そんなことを言っていたら、それこそ食いっぱぐれてしまう

今若者はTik tokに夢中になっているが、Tik tokをバカにする中高年も、おそらく数年後には続々参入してくるだろう。若者を全肯定しろとは言わないが、少しは若者の感性を信じてみてもいいのでは、と思うのだ。人は行動力と考え方次第でいくらでも若返れるのだから。