「人新世の資本論」vs「無理ゲー社会」/史上最難関の依頼絵

職場で久しぶりに「人新世の資本論」を読み進めたのだが、これと橘玲氏の「無理ゲー社会」を併読すると非常に効果的だと感じた。基本的に現代社会はリベラル化しており、資本主義の本拠地のようなアメリカでさえ急速にリベラル化している。だが橘玲氏はリベラルの落とし穴をこれでもかというほど提示してくる。もちろん全て鵜呑みにする必要はないが、思想のバランスを取るにはちょうどいい気がする。両方とも問題提起の発端は同じなのに、これだけ主張が異なるとは中々面白い。

 

そしてようやく某依頼絵が完成し、締め切り数分前にスライディング納品出来た。1枚の絵に3人、しかもどんな世界観か、どんなキャラクターか明確な指示がなく、更には着衣差分まで欲しいという要望を受けた私も私だが、サンプルイメージを貰っても未だ明確なイメージがわかず、早々に行き詰まった。単純計算で普段の3倍の労力、そしてモチベーションも全くわかず、更にほかのイラストと納期が重なるという史上最難関の絵となった。

そうやってどうしようどうしようと言っている間に1ヶ月半が経過。納期は依頼から2ヶ月後ということで当初余裕と思われた納期だったが、放置している間に気づけば残り2週間まで差し迫っていた。しかもこれとは別にもう一枚依頼絵があり、ほぼ納期が重なっていたことをすっかり忘れる大失態。あと2週間で依頼絵を2枚片づけなくてはならぬ。

もうやるしかない。もう一方の方が納期が先だったので、まずはそちらに全力投球し、それから土日含め自宅でチマチマ絵を進め、最後の3日間は夏休みの宿題状態。

お金を頂いている以上やることはやったつもりだが、やむを得ずちょっとだけレイヤーを少な目にさせて頂いた。それでもデッサン狂いの修正が間に合わず、依頼主には申し訳ない限りである。

それでも制作にかかった時間は普段よりも多い。ややこしい計算だが、作品中一人当たりのクオリティを1/2に落としたとしても、3人合計すれば労力は通常の3/2、つまり1.5倍である。

 

skebは手軽といえば手軽なのだが、仕様についてやり取り出来ないのは欠点といえば欠点かもしれない。一般にクライアント仕事というのは依頼主と何度か打ち合わせを行い、依頼主の目的や表現したいものを理解しないと要望に応えることは出来ない。場合によっては依頼主自体が目的を把握していなかったりするから、こちら側が顧客の要望を聞きだす必要もある。今回の依頼絵はおそらく何らかのスマホゲームだと思われるが、どんなゲームなのか、どんなキャラクターなのか分からなかった。依頼主に確認したかったが、匿名で依頼されるとメッセージでやり取りすることも出来ない。仕方なく自分なりの解釈で描き上げたが、これで良かったのか、満足してもらえたかは分からない。

それでも受注当初は「仕事が来るだけありがたい」という気持ちだったが、結局そこが不明確だとモチベーションが湧かないのだ。モチベーションがないと「魅力的に描こう」という意欲が失せてくるし、描くこと自体苦痛になってくる。有償リクエストでなければとっくに放棄していたと思う。

 

そんな訳で良くも悪くも学びの多い依頼絵となった。今後は「とりあえず受けよう」ではなく、出来そうなイラストだけ着手するようにしよう…