暇だったので散歩(12km)してきた

近頃ブログの更新が微妙に滞っているのはなぜかというと、キーボードの上に総菜の空きパックを積んでいるからだ。嘘だと思うかもしれないが事実だ。最近総菜の空きパックを片づけるのが億劫になるくらい腰が重くなっている。

ついさっき、諸事情によりスマホのメールアドレスパスワードが必要になったのだが、その辺が載っている契約書が全く見つからず、散々探した挙句結局パスワード再登録を行った後、PC内に契約書のpdfがあることが判明する…という、数十分をどぶに捨てるマネをしてしまった。やっと腰を上げたと思ったらこれである。ただ、これも12km歩いた後だと思えば仕方ないと言えなくもないか。

 

 

話は今日15時にさかのぼる。近頃ろくに運動出来ていないことと、サラダ生活を始めたことで健康意識が向上したこと、何より昨晩も床で寝てシャワーも浴びてないし今更多少の汗は問題ないということで、久しぶりに散歩にでも行こうかと思い立った。

今から8年前、精神を病んで休職していたころ、このままではいけないと思った私は連日自転車を20km近く漕いでIKEAまで行き、コーヒーとジュースを飲んでそのまま帰るルーティンを毎日やったり、徒歩で東京まで行ってみよう!と思い立ち、唐突に薄着で出かけて15km近く歩く(しかも競歩並のハイスピードで。ただ雨により途中で引き返した)…という、完全に暇を持て余した無職と化していた。

 

あれから8年、あの時立ち寄ったスーパーは健在だろうか。何となくその様子を確認したくなり、涼しさもあいまって唐突に出かけてしまったのだ。

北の方に黒い雲がかかっているものの、降ったとしても大したことはなさそうだ。

立ち並ぶマンションの狭間でひっそり営業する果物屋。神社へ伸びる参道。昔ながらの酒屋、タバコ屋。古いオロナミンCの看板がかかる店。錆びた道路標識。

車やバイク、自転車ですら見落としてしまいそうな街の風景。

途中図書館に立ち寄り、軽く本を立ち読みする。もし面白い本が見つかったら散歩をここで辞めていたかもしれないが、幸い先に進むことになった。

図書館前では、なぜか振袖の若い女性の撮影が行われていた。カメラマンが「もう少し右側に目線をやって下さい!ああいいです!その表情で!」と、コミケのコスプレ広場のようなノリで喋っていた。あれがカメラマンの仕事だとしたら、私にはカメラマンなど絶対無理だ。

 

その後国道4号線をひたすら南下する。国道4号線東武線とほぼ並走しているから、歩けなくなった時はいつでもエスケープできる。

時折歩道が狭くなる箇所があり、歩行者であってもすれ違いに気を遣う場面が度々あった。自転車のオバチャンは、こちらが柵に寄るとすれ違いざまに軽く会釈をしてくれた。ただ歩くだけでも人の優しさを感じられる。

遠くから選挙カーのけたたましい音が聞こえてきた。そういえば午前中も聞こえてきたが、そろそろ選挙が始まるのか。

 

せんげん台駅前のスーパーでトイレ休憩。出発直後は涼しさを感じたが、歩き始めてから1時間以上経過し、かすかな足の痛みを感じるとともに首の後ろから汗がにじんでいた。

ここでジュースでも飲みたかったのだが、ゆっくりくつろげそうな場所が見当たらなかったのでそのまま歩みを進めた。結局自販機で缶コーヒーを買い、適当に飲みながら歩くことにした。

 

越谷市内に入ると、若干張り詰めたような空気を感じた。歌舞伎町や大阪ミナミを渡り歩いた私の直感が、ここは早く通り抜けた方がよいと警告を送る。治安の悪い地域で育った人は危険を察知する動物的直観が身につくと言われるが、私もそれが備わっているらしい。

しばらく歩くと、マンションの前でうずくまり菓子パンをほおばる老婆を見かけた。日に焼けた肌を見てホームレスだと直感した。嫌な予感が的中した瞬間だった。目を合わさないようにして立ち去る。

国道4号線から旧日光街道に乗り換え、そのまま南下を続ける。ここまでろくに休憩を取っていないが、歩くペースを落とした結果汗は引き、足の痛みも和らいできた。途中からは歩く意味すら考えず、ただただ修行僧のように歩く。

しかし足に意識を向けてみると、足取りの重さというか、疲れを感じ始めた。8年前は競歩並のペースで15km歩けたが、今回はまだ10kmに届いていない。残念だがそろそろ引き返した方が良いかもしれない。

 

遠くに北越谷駅タワーマンションが見えてくる。最低でもあそこまでは行かなくてはいけない。この辺までくると緊張感はもう感じなくなっていた。ただ、いざ駅前にたどり着いてみると「もう少し行けそう」という思いが湧いてくる。急行の利便性も考慮して、越谷駅まで行くことにした。

北越谷駅付近の日光街道沿いは大きな神社がある。だが、そこを根城にしているらしい鳥たちの落としものが、どう頑張っても回避できない密度で歩道上を覆っている。ほかの通行人は構わずそれを踏みつけており、私も仕方なく踏みつけながら歩いた。

越谷市街地の中を歩き、途中越谷駅の方向に切り返す。途中10人近い行列が出来たラーメン屋があったが、看板を見ると「二郎」だった。二郎系そんなに人気なんだな…。

駅前広場はタワーマンションが2棟建ち、中核都市らしい近代的な光景が広がっていた。だがよく見るとタワマンのテナントは庶民的な飲食チェーンや100円ショップが入り、駅前雑居ビルもサラ金と安居酒屋だらけ。う~ん…。

 

そんなこんなで越谷駅に無事到着。随分喉が渇いたが、水分補給は自宅まで我慢することにした。

当然だが、電車は速い。私がえっちらおっちら歩いた道のりが瞬く間に過ぎ去っていく。ただ電車の車内で初めて暑さを感じた。そういえば私以外に半袖短パンの人を一人も見かけていない。今日の最高気温は24度、車内はもう少し気温が高いはずだが、短パンで暑い暑いと言っているのは私しかいないらしい。

 

そんなこんなで最寄り駅に到着し、帰宅早々にプロテインを飲んだ。散歩程度の運動で効果があるのか疑問に思いつつも、全く無駄ではない…と思いたい。どうせ余ってるし。

帰宅後googleマップのタイムラインを調べたところ、図書館休憩含め3時間10分・12kmの道のりだった。8年前の15kmには及ばないが、あの頃より8歳年を取っていることを考えれば十分だろう。風景は8年前と良くも悪くもほぼ変わりなかった。

それにしても、30代後半にもなってこんな時間の使い方が出来るとは、仮に無職になっても暇を持て余すことなく普通に暮らせそうだ。

本当は依頼絵とかやることはあるのだが、唯一頭を活性化させる方法は運動というし、ここで徹底的に歩けば何かいい案が浮かぶかも…というスケベ心もあった。そんな訳で今日は昔を思い出すいい経験が出来た。